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高橋ペットクリニック ブログ

高橋ペットクリニックからのお知らせです。臨時休診や飼い主様への情報を提供します。


麻酔器を導入しました!!(ドレーゲル社製 Apollo)

こんにちは、獣医師藁戸です。

この度当院に新しい麻酔器を導入しました。嬉しいです!
福岡の動物病院では当院が初のようです!

Drager(ドレーゲル)社製 Apollo(アポロ)

この麻酔器は低体重の子や、病気で心臓や肺が悪いワンちゃんやネコちゃんでもこれまで以上に高い精度で人工呼吸管理ができます。

獣医療も高齢化が進んでいます。例えば15歳で1kg台の小さなチワワやプードルちゃんの手術を実施しなくてはなりません。

これまでよりも質の高い人工呼吸器を備えた麻酔器によって、より高リスクなワンちゃんネコちゃんの手術の安全性を向上させることができます。

手術はしたくないですが、避けられない場合もあります。より安全な麻酔管理を目指していきます。

IMG_1347.jpg

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動物病院の麻酔のお話(6)「TOF-Watch 」

こんにちは!

獣医師藁戸です。

久しぶりのブログとなりました。

今回は当院に導入している麻酔に関するちょっと特殊な機器についてご紹介します。

ご紹介するのは、

「TOF-Watch 」(トフウォッチと呼びます)

というものです!

image1のコピー


この機器の役割は2つ。

①筋弛緩モニタリング装置

②神経探知刺激装置


と言ってもわかりにくいので具体的お話していきます!

①筋弛緩モニタリング装置

わんちゃんやねこちゃんに麻酔をかける理由の一つに、筋弛緩を得るという事があります。
緊張すると、人間もそうですが、体がカチカチになりますよね?

カチカチだと上手く手術が出来ません。

そこで、筋肉を和らげる事が必要です。

そこで、筋弛緩薬というお薬を使います。筋弛緩薬は、自分の意識で筋肉を動かす事が出来ないようにするものです。

そうする事で筋肉を和らげる事が出来ます。

でも、自分の意識で体が動かせなくなるって、怖いですよね⁉︎

もちろん、毎回毎回、全ての麻酔で筋弛緩薬を使っているわけではありません!

実は、わんちゃんやねこちゃんは筋弛緩を得やすい動物で、注射麻酔(動物病院の麻酔のお話 (2) を参照下さい)や吸入麻酔というもので、十分に筋弛緩が得られるんです。

じゃあいつ使うのか?

ある状況下において、筋弛緩薬は必要となるわけですね。

代表的なものは開胸手術になります。

開胸手術とは、胸を開けて、心臓や肺、食道などの手術をする事です。

当院では乳糜胸、肺癌、胸腺腫瘍、食道内異物や食道腫瘍、先天的な心臓病である動脈管開存症などの手術を実施しています。

開胸手術では、安全性を確保するために、確実に動物の自発呼吸や体の動きを止める事が必要となります。

その時に、筋弛緩薬が必要になるわけですね!

筋弛緩薬は必ず、気管内挿管を実施し、たくさんの生体監視装置を用いて、万全の状態で使用します。

その時、とても大切になるのが筋弛緩モニタリング装置です。

このモニターで、
お薬がちゃんと効いているのか?

あるいは
お薬は体から無くなって効果は消えているのか?
がわかります。

筋弛緩薬を使用するにあたり、良くないことは、お薬の効果が麻酔から覚めた後も残ってしまうことです。

そこで、このモニターを使って、きちんとお薬の効果が切れている事を確認する事が必要になるわけですね。

ヒトの医療でもこのモニターを使用する事を強く推薦されています。

当院でもこのモニターを使用して、麻酔の安全性向上に努めています。

麻酔は、獣医師の観察力も大切です。

しかし、どれだけ頑張って観察しても、体の中のお薬の事は見えません!

今回ご紹介した、特殊なモニタリング装置を使う事で、見えないものを可視化して、安全にお薬を使用する事が可能になります。

もちろん、筋弛緩のお薬を使わないというのも一つの選択肢かもしれません。
(昔の獣医療ではあまり使われていませんでした)

しかし、使えるお薬の選択肢が増えれば、手術の幅や、安全性が向上するという考えもあると思います。

あまり皆様の目には触れない事ですが、麻酔はこういった細かい事の積み重ねが、大切なのだと私は思っています。

読んでいただきありがとうございます。

長くなりましたので、

②神経探知刺激装置

については、次回お話しします!

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動物病院の麻酔のお話(5)鎮痛と麻酔維持

こんにちは。
獣医師の藁戸です。

今日は麻酔のお話です。

今回は

「鎮痛」と「麻酔維持」
に関して書いていきます。

過去のブログに麻酔の導入や挿管について書きましたが、これらは患者さんを麻酔薬で眠らせる処置になります。

「麻酔維持」とは、意識を無くして眠った状態を、手術が終わるまでお薬を使って継続させる事を意味します。

実際には、麻酔導入をプロポフォールで、麻酔維持はイソフルランやセボフルランといった吸入麻酔薬という別のお薬を用いているのです。吸入麻酔薬とは揮発性麻酔薬というもので、揮発させたお薬を酸素や空気に混ぜて、肺から血液に入れて行くお薬の事です。
(※手術によってはプロポフォールで麻酔維持する場合もあります)

吸入麻酔薬の利点は体から早く消えてくれるため、お薬の投与をやめれば、速やかに麻酔から覚醒してくれるところにあります。

しかしその反面、麻酔薬が多くなればなるほど、強力に心臓の動きを抑制したり、血圧を下げたりする欠点もあります。

そのため、吸入麻酔薬は過度に投与しないよう努めなくてはいけません。

ここで問題になってくるのが、

「鎮痛」です。
鎮痛とは、手術によって生じる痛みを取り除く事です。実は吸入麻酔薬に鎮痛効果はほとんどありません。導入に用いるプロポフォールにも鎮痛効果は全くありません。

従ってこのまま手術をしてしまうと動物は痛みに苦しみますし、痛みによって目を覚ましてしまいます。そこで吸入麻酔薬をたくさん入れると、薬の欠点が強く出てしまい、血圧が下がり危険な状況になります。

そのために、別に鎮痛薬というものが必要なのです。

モルヒネというとご存知の方も多いのではないでしょうか?麻薬になりますがとても強い鎮痛効果を持ちます。さらにはフェンタニルやレミフェンタニルというものがあり、モルヒネより強力に鎮痛効果を発揮します。

それ以外にも、ケタミンやリドカイン、ブプレノルフィン、ドラマドール 、NSAIDsなど多様な鎮痛薬が存在します。

近年は末梢神経ブロックといった、手術する領域の神経をお薬でブロックする事で、強力な鎮痛効果を得られる技術も発展しており、当院でも適応症例に実施しています。

鎮痛は動物の状態や手術内容、想定される痛み、術後の状況も含めて考え実行しなくてはいけません。

痛みを取り除くということは、動物の苦しみを取り除く意味と、手術が終わるまでの間(術後もそうですが)安全に麻酔を維持し、動物の命を守るという大切な意味もあるのです。

手術をすれば痛みが生じるのは当然です。
しかし、動物は話をする事ができません。
私達が注意深く観察して、少しでも痛みを取り除けるよう努めていきます。

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動物病院の麻酔のお話(4)短頭種の麻酔

こんにちは!

獣医師の藁戸です。

今回は前回の挿管の時にお話しした、「短頭種の麻酔」に関してです。

そもそも短頭種とは?

頭の幅に対して縦の長さが短い犬種の事を言います。パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズ、シーズー、チワワなどのワンちゃんたちです。

短頭種の麻酔は気をつけるべき点が複数あります。
1. 鎮静剤の投与は慎重にすべきである
2. 気管チューブのサイズは小さいものも複数準備しておくべきである
3. 動物がストレスを感じなければ麻酔前の酸素化をすべきである
4. 静脈麻酔薬を使用して速やかな麻酔導入をすべきである。マスク導入は推奨されない。
5. 意識が速やかに戻る薬物を使用すべきである。拮抗薬のある薬物は有用である。
6. 挿管後は気道の閉塞を発見するために、患者の呼吸音と呼吸様式を観察すべきである。
7. 伏臥位で頸部を伸ばし、舌を引き出して気道を確保するよう試みるべきである。

WILEY Blackwell, Veterinary Anesthesia and Analgesia The Fifth Edition of Lumb and Jones より引用改変

麻酔の教科書にはこのように細かな注意点がたくさん記載されているんです。

ではなぜ短頭種の麻酔はリスクが上がるのか?その理由はほかのワンちゃんとは異なる「呼吸器の解剖」にあります。

ではなにが違うのか?

まずわかりやすいのが、
鼻の入り口が狭い

パグやブルドッグで顕著ですが、お鼻の入り口が狭くなっています。
狭くなっているため空気が通りにくくなってしまいます。
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つぎは、
鼻の中の構造が窮屈
鼻の中には鼻甲介(写真黄枠のグレーの部分)と呼ばれる板のような構造物があります。短頭種は鼻が短いため、鼻甲介がギュッと詰まったようになってしまいます。
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軟口蓋が長い
軟口蓋

写真はワンちゃんの口を大きく開けて、軟口蓋をひっぱっている所です。
軟口蓋はヒトにもありますが、舌で上顎を触っていくと硬い部分から柔らかい部分に移っていきます。この柔らかい部分が軟口蓋です。短頭種はこの部位が長い子が多く、長い軟口蓋が喉の奥、気管の入り口を塞いでしまいます。

この3つの特徴からなんとなく短頭種の子たちの呼吸がイメージできたでしょうか?

呼吸するのが大変そうですよね!

短頭種の子たちは、このような呼吸器で毎日生活しています。
するとどうなるか?
頑張って呼吸をしていますので、負担が生じます。
喉が腫れたりよじれたり、気管が潰れたりしてどんどん呼吸がしにくくなっていきます。もっと頑張って呼吸します。
もっと腫れたり潰れたりします。

そうすると、気管の入り口が閉塞しやすくなり、麻酔の導入や挿管時に呼吸ができなくなったり、気道の入り口自体が狭く挿管できなくなる危険性が高まります。

ゆえに麻酔導入時には十分な酸素化と、呼吸抑制を最小限にする投薬、気道を確保する管理が重要です。

短頭種の麻酔リスクが高いと言われるのは、この導入・挿管の難しさに大きな理由があると言えます。(※麻酔維持中や麻酔後にも注意すべき点は多々あります)

・夜にイビキをかいていませんか?
・興奮するとすぐ、ガーガー、フガフガといいませんか?
・運動するとすぐ疲れませんか?

このような症状が当てはまる時はトラブルを生じている可能性が高くなりますので、獣医師に相談して下さい。


「短頭種だから麻酔は出来ないですよね?」

このようにお問い合わせいただくケースも少なくありません。

短頭種だから麻酔ができないという訳ではありません。
それぞれの個体のリスクを評価し、適切な手法で麻酔を施すことが大切です。

お困りの際はぜひご相談ください。

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動物病院の麻酔のお話(3)

こんにちは!

高橋ペットクリニック
獣医師の藁戸です。

今回は前回の「導入」に続き、「挿管」に関して書きたいと思います。

挿管って⁇

これは動物の気管の中に専用のチューブを入れることで、動物の体外と気管をつなぐことができ、空気の通り道を確保する事です。

気管チューブとは下の写真のものです。

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このチューブを挿管すると、下の写真のようになります。
口の中を通り、首まで続いている白い管が気管チューブです。

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これには様々なメリットがあります。
①麻酔中、いつ呼吸が止まっても、気管チューブを介して、酸素を送ることができる

②肺の機能や、血液の巡りなどを推測する事が出来るため、より精密な管理が実施できる

③動物が万が一麻酔中に嘔吐しても、甚大な誤嚥を防止できる

④心臓や肺など、開胸が必要な手術を可能にし、筋弛緩薬を使用する事も可能になる


一方デメリットもあります。
①短頭種などでは気管挿管の難易度が上がる場合があるため、習熟が必要

②血圧や脳圧、眼圧の変動

③気管刺激による発咳

④気管チューブによる気管の裂傷


挿管のメリットとデメリットを天秤にかけると、日常的な手術においては得られるメリットの方がはるかに多いため、ほぼ全ての症例において挿管を実施しています。

そのなかで、挿管の難易度が高いケースがあります。それが短頭種(フレンチブルドック、パグなど)と呼ばれるワンちゃん達です。

「短頭種の麻酔は危険だ」

このような話を耳にされる方は多いのではないでしょうか?

この子たちの麻酔リスクが高いと言われる理由の1つは、実はこの「挿管」にあるのです。
次回はこの短頭種の麻酔に関して書きたいと思います!

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